新しく店舗を開業するオーナー様にとって、内装工事は費用が大きく、集客にも重要な影響を与える重要なイベントです。
工事金額やデザインに注目することは大切ですが、減価償却は将来の経営戦略に大きな影響を与えるという点を覚えておきましょう。
そこで、今回の記事では、店舗やテナントの賃貸借契約をご検討の方に向けて、内装工事の資産会計処理について解説します。
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店舗の内装工事の耐用年数はどれくらいなのか
設備工事は、法律で定められた耐用年数に基づいて資産計上が可能です。
とくに、内装工事の費用については、すべてを一括で資産計上するのではなく、建物と同様に資産計上できる場合とそうでない場合があります。
そもそも耐用年数とは?
耐用年数は、法律で定められた資産の一般的な使用期間を指します。
これに対して、耐久年数とは、メーカーが物品の安全な利用期間として独自に判断した年数です。
耐用年数の間、資産の価値は徐々に減少します。
資産の利用開始日から耐用年数の終了日まで、毎年少しずつ減価償却費として計上します。
とくに、内装工事の中でも建物と一体となっている部分(クロス、床、壁紙など)は、建物の耐用年数に基づいて固定資産として処理しましょう。
賃貸物件から退去する際の原状回復工事は、修繕費として扱うことに注意が必要です。
自社物件と賃貸物件による耐用年数の違い
内装工事に関連する勘定科目としては、「建物」や「建物付属設備」を使用します。
ただし、内装工事に間接的に関連する人件費については「諸経費」、事務所内に設置するデスクやパソコンなどの設備については「備品」を使用してください。
また、内装工事をおこなう物件が自社所有か賃貸物件かにより、耐用年数が異なるため注意しましょう。
とくに、「建物付属設備」に分類されない内部造作(建物の床・天井など)については、建物の耐用年数に応じて減価償却をおこないます。
自社物件の内装工事
自社物件の場合、建物の耐用年数に基づいて減価償却をおこないます。
建物が新築か中古かによっても耐用年数は異なります。
新築の場合は、建物の種類に応じて法定耐用年数を確認し、その耐用年数を適用してください。
たとえば、木造または合成樹脂造の飲食店で床の内装工事をおこなった場合、耐用年数は20年です。
中古物件の場合は、使用可能期間から耐用年数を算出します。
具体的には、使用可能期間(耐用年数)は以下の計算式で求めます。
『(法定耐用年数 – 経過年数)+(経過年数 × 20%)』
ただし、築年数が法定耐用年数を超えている場合は、20%を加えた数を耐用年数とします。
端数がある場合は切り捨て、2年未満の場合は2年とします。
内装工事の費用が中古資産価格の50%以上の場合は、新築のケースと同様に耐用年数=法定耐用年数です。
賃貸物件の内装工事
賃貸物件の場合、国税庁の「No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数」を参照します。
この資料によれば、「内装工事をおこなった建物の耐用年数や種類、用途、使用材質などを考慮して合理的に耐用年数を見積もる」ことが求められます。
合理的であれば何年でも問題ありませんが、一般的には10〜15年です。
また、以下の条件をすべて満たす場合、賃貸期間を耐用年数として扱うことができます。
●賃借期間の定めがある
●賃借期間の更新ができない
●有益費の請求または買取請求ができない
さらに、建物と一体しているように見える設備でも、電気設備(照明設備など)や冷暖房設置のような建物付属設備に該当する内装工事の場合は、各法定年数に基づいて処理します。
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店舗の内装工事は減価償却できる!
減価償却の期間の基準となるのが「耐用年数」です。
耐用年数とは、固定資産の経済的価値を年数で表現したもので、資産の一般的な使用可能期間を指します。
減価償却とは、固定資産の購入費用を使用可能期間で分割して計上する会計処理のことです。
内装工事の費用を減価償却する際には、内装の種類に応じて耐用年数を決定し、複数年にわたって経費を計上します。
ここでは、減価償却のメリットや耐用年数との関係について解説します。
減価償却のメリット・デメリット
減価償却の目的は、取得した年度の損益に大きな影響を与えず、適切な損益計算をおこなうことです。
メリットとしては以下の3つがあります。
●節税効果がある
●資産が計上される
●損益を正確に把握できる
一方、デメリットとしては次の2つがあります。
●会計処理が複雑で手間がかかる
●税制改定のたびにアップデートが必要である
減価償却は、年度末のとくに忙しい時期に会計処理をおこなうため、期間に余裕を持って対応しましょう。
耐用年数に基づく減価償却が原則
内装工事の費用は、耐用年数に基づいて減価償却することが税法上の決まりです。
適切な会計処理をおこなうためには、耐用年数、減価償却、内装工事の関係性をしっかりと理解する必要があります。
たとえば、100万円で取得した資産の耐用年数が10年の場合、毎年10万円ずつ減価償却していくのが原則です。
建物付属設備は10万円以上を減価償却
建物付属設備は、取得価格が10万円以上であれば減価償却します。
しかし、建物内のデスクやテーブル、椅子などは単価が10万円未満でも、合計金額が10万円を超える場合は耐用年数に応じて減価償却が必要です。
この場合、建物本体とは別に計上するようにしましょう。
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店舗の内装工事で減価償却をおこなうときの注意点
内装工事で減価償却をおこなう際には、3つのポイントに注意する必要があります。
最後に、それぞれの注意点について詳しく解説します。
注意点①:減価償却の対象となるリフォーム
リフォームは、工事により資産の機能を向上させることが可能です。
工事の内容や費用額によって、減価償却が必要な場合と、必要経費として計上できる場合があります。
たとえば、避難階段の取り付け、防水加工、耐震性の向上などは資産として認識され、減価償却が適用されます。
詳しい定義については、国税庁のWebサイトを参照してください。
どちらか判断がつかない場合は、下記の条件に当てはまれば、必要経費として計上できます。
●対象金額が60万円未満の場合
●固定資産の前期末における取得価額の約10%以下である場合
注意点②:原状回復工事にあたるリフォーム
原状回復工事とは、工事をおこなって資産を入居当初の状態に戻すことです。
これは修繕費として扱われるため、減価償却ではなく必要経費として計上します。
必要経費として計上するには、「原状回復工事」であることを明確にしておく必要があります。
明確でない場合、資産計上が求められることがあるので注意が必要です。
また、資産を廃棄するときには「固定資産除却損」で計上します。
注意点③:減価償却と経費計上のどっちがメリットが大きい?
減価償却と経費計上のどちらが有利かは、状況によります。
赤字の場合は、経費を増やしても税金は減らないため、資産計上して減価償却する方が有利です。
一方、利益が出ている場合は、経費として計上することで節税効果が得られます。
そのため、ケースバイケースで判断し、適切な方法を選択することが重要です。
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まとめ
店舗の内装工事にかかった費用は、すべてを一括で資産計上するのではなく、毎年少しずつ減価償却費として計上します。
減価償却費の計算には耐用年数を参考にしますが、工事の用途によって年数が異なるため注意しましょう。
また、原状回復工事に該当する場合は、資産計上ではなく必要経費に計上できる可能性もありますが、減価償却と経費計上のどちらが有利かは状況により異なります。
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