店舗を経営するうえで賃貸物件を借りるときには、不動産会社へ仲介を依頼するのが一般的です。
ところで、貸店舗を借りる際には、敷金や礼金のほかに権利金が必要になることをご存じでしょうか。
この記事では、貸店舗を賃貸借契約する際の権利金とは何かのほか敷金や礼金などとの違いや返還される場合についてもご説明するので、貸店舗を探している方はお役立てください。
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貸店舗を契約する際の権利金とは
アパートやマンションなどへ入居する際に、権利金を求められることはほとんどないのに対し、貸店舗では必要な物件が多くを占めます。
これは、事業用物件では一般的に発生する経費の1つであり、賃貸借契約書に定められている場合には支払わなければなりません。
権利金とは
権利金とは、土地や建物の賃貸借契約を締結する際に支払う一時金の1つです。
賃貸借契約の締結に伴い、賃借人が手にする権利に対し設定されるもので、賃料とは別の費用であり、国税庁では権利を設定するにあたっての対価と位置付けています。
居住用の物件に設定されることは稀であるのに対し、事業用として土地や建物を賃貸借するときに発生することは少なくありません。
借地の場合は、長期間にわたって使用する権利に対する対価のはたらきを持ち、事業用物件においては資産が生み出す利益への対価としての意味合いがあります。
なお、法的に規定されている費用ではなく、金額の設定にあたっては貸借人の間での合意が必要です。
地域によって異なりますが、借地においては更地価格の60~70%程度で設定されることが多くを占めています。
都市部や商業地は、賃料に比例して高めに設定されやすい傾向があります。
性質
敷金や保証金は、契約を終了する時点で使途がないときには、貸主から賃借人に返還されることが一般的です。
賃借人が得る権利への対価である権利金は、敷金や保証金と異なり、基本的にはオーナーから返還されず、この点では礼金に似た性質を持っています。
この権利金を支払うことで、契約期間を終了するときに正当な理由がないと、貸主は契約の更新を拒めません。
そのため、事業用の賃貸借契約は長期になる可能性が高く、貸主はリスクを負います。
権利金には、賃貸借契約における貸主のリスクに対する対価の性質が含まれていると考えて相違ないでしょう。
税務上の取り扱い
法人が支払うときには、税務処理において支出の効果が支出日以後1年以上におよぶものに該当する点で繰延資産として処理するのが適当です。
建物の賃貸借契約にあたっては、繰延資産の償却期間を5年とするのが一般的です。
ただし、賃借期間が5年未満で、契約を更新するときに再び支払うよう明確に定めているケースでは当該賃借期間になります。
なお、権利金の扱いについて将来にわたって返還しないと明確に定めているときには、賃貸人側は賃貸借契約を締結する時点で収益として処理する方法が妥当です。
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貸店舗にかかる権利金と敷金や礼金などとの違い
居住用の賃貸物件を借りるときに設定されることはあまりないことから、貸店舗を借りようとして権利金を求められるときに難色を示す方は少なくありません。
そういった解釈によるトラブルが起きている場合もみられるため、敷金や礼金など他の初期費用との違いをご説明するので、参考にしてください。
敷金との違い
アパートなどの賃貸物件においては、敷金を求められることが多くを占めます。
敷金とは、賃借人が貸主に対して賃料などの債務の担保として預ける費用です。
賃借人が賃料を支払えなくなると、オーナーは敷金から賃借料を補填する場合があります。
また、通常の使用で発生する経年劣化とは異なる破損や汚れなどがあるときには修繕が必要になります。
敷金は、賃貸借契約の満了時において、そういった破損個所などの修繕費用に充てられるのが一般的です。
ただし、契約を終了する時点で賃料の未払いがないとともに物件を修繕する必要がない状況のときには、貸主は賃借人に対し敷金を全額返還する必要があります。
権利金と敷金は、返還義務の有無の点で大きく性質が違っています。
礼金との違い
礼金とは、賃借人が物件を借りるうえでオーナーに対して謝意をあらわすお礼の性格を持った費用です。
戦後間もない頃、多くの人々が、なかなか居住地を定められませんでした。
その時代において、住居を貸してくれた賃貸人に示したお礼が現在の礼金の根源になっています。
権利金と礼金は、契約を終了するときに返還されない点については同様の取扱いです。
ただし、礼金の性質は純粋なお礼であって、物件を借りる際に生じる利益に関する対価性はありません。
この点が、双方の初期費用における大きな相違点です。
保証金との違い
保証金は、賃借人が賃料を支払えないときや契約終了時の原状回復費用に充てる費用であり、敷金と同じ性質で権利金とは異なります。
賃借人が賃料を未払いでいると、保証金から補填される可能性があります。
また、貸店舗では、室内を利用するにあたって内装工事を施工する場合が多くなるでしょう。
したがって、契約を終了するときには原状回復する工事が必要になり、工事費用が高額になる可能性が考えられます。
また、賃借人が経営状況によって、賃料を払わない、原状回復に応じないなどのリスクがあるため、貸主にはリスクを軽減する対策が必要です。
さらには、事業用の物件においては賃借人が雲隠れするなど、居住用の物件に比べて退去時のトラブルが多い傾向がみられます。
こうしたリスクを踏まえ、貸店舗の物件においては、保証金の設定が高額になる場合は少なくありません。
なお、西日本においては設定される事例が多くみられるという特徴があります。
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貸店舗にかかる権利金が返還されるケース
ここまで、権利金は契約を終了する時点でも返還されないとご説明してきましたが、例外として戻ってくる場合もあります。
特殊な事情
貸主の一方的な事情によって賃貸借契約を途中で解約する際に、未経過の期間に対する分が返還されない状況になると、賃借人としては納得できないでしょう。
権利金は、賃貸借契約の期間に応じて設定されている経費のため、賃借人は未経過の期間に関する利益を得られていません。
したがって、こういった場合には、貸主には賃借人に対して返還義務が発生します。
ただし、賃貸借契約のなかには契約期間を定めていないことがあります。
契約期間を定めていないときには、未経過の期間を算定できません。
したがって、期間の定めがない賃貸借契約においては、返還されない可能性が高くなる点に注意してください。
注意点
権利金は、法律で定められている費用ではないため、必ずしも設定する必要はありません。
ただし、親子や兄弟、親戚間で賃貸借する場合や借地権者が地主を役員とする法人の場合においては、税務上の観点で注意が必要です。
権利金を設定しておかないと、相続税や贈与税を免れる目的で借地権を設定していると判断され、借地権者に対し贈与税が求められる可能性が考えられます。
新たに借地権を設定する際には、権利金と賃料とのバランスが重要になります。
税務署に目をつけられないよう、事前に専門家に相談しておくのがよいでしょう。
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まとめ
貸店舗を借りる際に権利金を求められても不審に思わず、一般的に認められている費用の1つであり支払いに応じなければなりません。
ただし、金額は法律で規定されているわけではなく、貸借人の間で合意が必要です。
貸店舗の契約には、税務上の問題もかかわってくるため、事前に専門家に相談するのがよいでしょう。
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